古代エジプト展 「女王と女神」



2014.08.21
先週の平日、東京上野の都美術館で開催されているメトロポリタン美術館の古代エジプト展「女王と女神」へ行ってきました。
(ニューヨークのメトロポリタン美術館は1870年の開館。世界の三大美術館の一つで、ロックフェラー家など大富豪によるコレクションが大量に寄贈されている。 収蔵品数は絵画・彫刻・写真・工芸品ほか家具・楽器・装飾品など200万点に及び、中でも「古代エジプトコレクション」は有名で、今夏の「女王と女神」展には、その中から「女性」をテーマに厳選された約200点が日本初公開されるということです。)
全体の感想としては、一昨年の「大英博物館展」と「ツタンカーメン展」の内容があまりにも濃く、豪華な出し物も多かったので、それに比べると今回の展覧会は展示物に小さいものが多すぎてちょっぴり残念という感じでした。
(タイトルにもあるように「女性」に特化した展示だったので、アクセサリーや化粧道具など小物が多いのは分かるのですが)
( 大英博物館展の過去記事…「大英博物館展へ行ってきました」 )
それでも、年配の男性が意外にも多く、女性より熱心にこうした物を見ていた方も少なくなかったので(笑)、古代エジプトに関心が深い人が多いんだな~と関心しました。
入って一番最初に置かれていた「ハトシェプスト女王像の頭部」は、正面からだけでなく横に回ってみたりもしましたが、どこから見ても完璧に美しかったのでとても良かったです。(特に斜めから見ると美しい)

ハトシェプスト女王像の頭部(前1473~58年ごろ)
そして、このブログでも取り上げたことのあるハトホル女神の像や、雌牛(めうし)の姿で表わされた女神像もあって、あらためてハトホル女神と雌牛との関係を確認したり・・・(過去の関連記事・・・天の雌牛(めうし))
ハトホル女神の象徴がついた建物装飾
(一見普通の女性像のようだが、牛の耳をもち、ハトホル女神を象徴していることが分かる。ハトホルは、テーベ西側の山と結びつきを持つ西方の女神としても信仰された。)

牛の女神像の頭部
「雌牛の頭を持つ人間で表された女神像の一部で、ハトホル女神とも、メヘトウェレト女神とも考えられる。角の間にある太陽円盤は太陽神ラーとの結びつきを表す」とのこと。
展示室の最後に、見事に彩色された大型の女性用棺がありました。
上の説明には「 アメン・ラー神の歌い手ヘネトタゥイの人型内棺とミイラ板」とあったので、恐らく太陽神への讃歌をささげていた女性の棺のようですが、左手にある棺の蓋(ふた)にびっしりと描かれた絵が見事でした。
この辺にあったパネルに、もう数日たった記憶なので不確かなのですが、たしかこんな意味のことが書かれていました。
古代エジプト人は「朝になると再び出現する太陽神のように(あるいは太陽神と共に)、自分も再び蘇りたいと思っていました」と。
これに関しては、私の手元にある「図説エジプトの死者の書」にはこうあります:(p、50)
太陽の再生
「・・・だから、彼らにとって、天空に燦然と輝く日輪がその光を鈍らせ、西の地平線に沈んでいく様は不安をかき立てる出来事であり、日没の瞬間、彼らは「太陽神が死んだ」と考えた。
太陽はいったいどこに消えてしまったのだろう。一条の光も存在しない闇は、どんな生命も産み出さない死の世界であり、人々は眠りを貪(むさぼり)りながら朝を待つほかはなかった。
翌朝、消えたはずの太陽が再び光を取り戻して東の空に輝く瞬間というのは、エジプト人にとってただの自然現象ではなく、思わず顔を上げて拝まずにはいられない神々しいひと時だった。 それはまさに太陽の誕生であり、奇跡のような復活劇に思われた。
死に臨むものはこの太陽の再生にあやかり、自らもあの世で再び生き返ることを望んだ。」、と。

以前、この部分を読んだときからずっと違和感を感じていたのですが、(つまり、古代エジプト人が毎日日没の瞬間に太陽神は死に、朝とともに蘇ると考えていたという解釈。)
太陽神の「死と再生」とは、「毎日」などというほんの短いスパンの話ではなく、おそらくは「万年」という単位で繰り返しているのかもしれない長大な「太陽の時代」についてのことを言っているのではないかと・・・。
本当は古代エジプト人はこう思っていたのではないかと私は思いました。
「こんど来世で蘇るときは、太陽神が不安定な時代ではなく、太陽神が勢いよく復活し、気候が安定した平和な時代に生まれ変わりたい」と。
だから古代エジプト人は「太陽神の再生」を表わすスカラベの装飾を棺に描いたり、アクセサリーなどにして常に身の回りにおいたのではないでしょうか。
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(ニューヨークのメトロポリタン美術館は1870年の開館。世界の三大美術館の一つで、ロックフェラー家など大富豪によるコレクションが大量に寄贈されている。 収蔵品数は絵画・彫刻・写真・工芸品ほか家具・楽器・装飾品など200万点に及び、中でも「古代エジプトコレクション」は有名で、今夏の「女王と女神」展には、その中から「女性」をテーマに厳選された約200点が日本初公開されるということです。)
全体の感想としては、一昨年の「大英博物館展」と「ツタンカーメン展」の内容があまりにも濃く、豪華な出し物も多かったので、それに比べると今回の展覧会は展示物に小さいものが多すぎてちょっぴり残念という感じでした。
(タイトルにもあるように「女性」に特化した展示だったので、アクセサリーや化粧道具など小物が多いのは分かるのですが)
( 大英博物館展の過去記事…「大英博物館展へ行ってきました」 )
それでも、年配の男性が意外にも多く、女性より熱心にこうした物を見ていた方も少なくなかったので(笑)、古代エジプトに関心が深い人が多いんだな~と関心しました。
入って一番最初に置かれていた「ハトシェプスト女王像の頭部」は、正面からだけでなく横に回ってみたりもしましたが、どこから見ても完璧に美しかったのでとても良かったです。(特に斜めから見ると美しい)

ハトシェプスト女王像の頭部(前1473~58年ごろ)
そして、このブログでも取り上げたことのあるハトホル女神の像や、雌牛(めうし)の姿で表わされた女神像もあって、あらためてハトホル女神と雌牛との関係を確認したり・・・(過去の関連記事・・・天の雌牛(めうし))

ハトホル女神の象徴がついた建物装飾
(一見普通の女性像のようだが、牛の耳をもち、ハトホル女神を象徴していることが分かる。ハトホルは、テーベ西側の山と結びつきを持つ西方の女神としても信仰された。)

牛の女神像の頭部
「雌牛の頭を持つ人間で表された女神像の一部で、ハトホル女神とも、メヘトウェレト女神とも考えられる。角の間にある太陽円盤は太陽神ラーとの結びつきを表す」とのこと。
展示室の最後に、見事に彩色された大型の女性用棺がありました。

上の説明には「 アメン・ラー神の歌い手ヘネトタゥイの人型内棺とミイラ板」とあったので、恐らく太陽神への讃歌をささげていた女性の棺のようですが、左手にある棺の蓋(ふた)にびっしりと描かれた絵が見事でした。
この辺にあったパネルに、もう数日たった記憶なので不確かなのですが、たしかこんな意味のことが書かれていました。
古代エジプト人は「朝になると再び出現する太陽神のように(あるいは太陽神と共に)、自分も再び蘇りたいと思っていました」と。
これに関しては、私の手元にある「図説エジプトの死者の書」にはこうあります:(p、50)
太陽の再生
「・・・だから、彼らにとって、天空に燦然と輝く日輪がその光を鈍らせ、西の地平線に沈んでいく様は不安をかき立てる出来事であり、日没の瞬間、彼らは「太陽神が死んだ」と考えた。
太陽はいったいどこに消えてしまったのだろう。一条の光も存在しない闇は、どんな生命も産み出さない死の世界であり、人々は眠りを貪(むさぼり)りながら朝を待つほかはなかった。
翌朝、消えたはずの太陽が再び光を取り戻して東の空に輝く瞬間というのは、エジプト人にとってただの自然現象ではなく、思わず顔を上げて拝まずにはいられない神々しいひと時だった。 それはまさに太陽の誕生であり、奇跡のような復活劇に思われた。
死に臨むものはこの太陽の再生にあやかり、自らもあの世で再び生き返ることを望んだ。」、と。

以前、この部分を読んだときからずっと違和感を感じていたのですが、(つまり、古代エジプト人が毎日日没の瞬間に太陽神は死に、朝とともに蘇ると考えていたという解釈。)
太陽神の「死と再生」とは、「毎日」などというほんの短いスパンの話ではなく、おそらくは「万年」という単位で繰り返しているのかもしれない長大な「太陽の時代」についてのことを言っているのではないかと・・・。
本当は古代エジプト人はこう思っていたのではないかと私は思いました。
「こんど来世で蘇るときは、太陽神が不安定な時代ではなく、太陽神が勢いよく復活し、気候が安定した平和な時代に生まれ変わりたい」と。
だから古代エジプト人は「太陽神の再生」を表わすスカラベの装飾を棺に描いたり、アクセサリーなどにして常に身の回りにおいたのではないでしょうか。
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